町の整骨医院と見事な連携
今日もいつもの整骨医院に出かけた、もう1か月以上になるが股関節の痛みの治療に通っている。
診療所には既に3人ほどの患者さんが電気治療や先生のマッサージを受けておられました。
間もなく私も呼んでいただきました。マッサージをする前にあらかじめ患部を温める電気治療です。
通常は20分ほどで「ピッピッピ」とけたたましい治療終了の信号音が鳴ります。
そろそろ鳴るかなと思ったころ、入り口付近が騒がしくなりました。声から想像して70歳前後のご婦人がいらっしゃったようだ。
私のベッドは待合スペースから隠れているため、これからのお話は聞こえてくる会話から私の想像によって構成されたものです。
〇〇さん、どうされたんですか、先生の話し方ではどうも通常の来院ではなさそうだ。少し遅れて今度は男性の声がした。いつも女房がお世話になっています。ご婦人の旦那さんのようである。
女房が転倒した時にやったみたいで、先生ちょっと見てやってもらえんでしょうか、とご主人の声、ちょうどそのころ私の治療器から治療終了の信号が鳴り出した。「ピッピッピ」
先生は私のベッドに戻って来られました。
いま来られている患者さん骨折しているようなので、少し待ってもらってもいいでしょうか? 私は当然のように、どうぞ先に見てやってくださいと先生にお願いいたしました。
12年前のこと、わたしの肩が動かなくなった時、この状態では私ども整骨医院だけでは治療ができません、少し動かすだけで私が痛がるためだ。病院を紹介しますから手術してもらってください。それから、こちらでリハビリしていきましょう。
大丈夫、私らの仲間とその病院の先生とは月に何度かの合同研修会で勉強しています。あなたの場合もその連携で治しましょう。
早速、紹介先の病院で手術をしていただき少しは動くようになりました。その後はこちらの整骨医院で半年間リハビリを続けて、まさに言われた通り完治いたしました。
先生が患者さんに説明を始められました。「私の見立てでは80%骨折しています。病院でCT撮影してもらった方がいいので、これから直ぐに行ってください」
先生は説明をしては、少し無言になる、どうも応急処置をしているようだった。
「これが終わったら紹介状を書きますから・・・」と
だがその後、再び無言が続く。
私が待たされている場所のエアコンが効きすぎて折角温めたところも、体全体冷えだしてきた。
その時です。付き添いで来られていたご主人がとても印象的なことをおっしゃった。このことから私は文章にしたくなったのです。
そのご主人はこのように言われました「先生、このままでじっとしてると後30分ぐらいでくっ付くんですか」しばらく間が空いたが先生の声は聞こえない。きっと言葉がみつからなかったんだと思う。
空気を察したのかご主人はさらに「30分じゃダメか・・何時間ぐらいですかね」
見えないところで聞こえてくるこれらの言葉、素直に想像すると、まるで2つに折れてしまったほうきの柄を接着剤でくっ付けている先生の様子が見えてくる。
確かに骨を整えると書いて「整骨医院」と看板には書いてあります。でもね・・・
板岡さんごめんなさい、手首を骨折された急患なのでつい割り込まして。
先生は恐縮しながら、私をマッサージベッドに案内してくれました。
マッサージ中には当然のように12年前の私の手術や半年間のリハビリの件も話題に上がりました。
初夏の日の午後6時、日が暮れようとする町の小さな整骨医院。ここでは、既に診療時間外である総合病院と連携して一人の患者さんが助けられている。仕事とは言え大したもんだ。
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