■温か~いズボン式足温器 ■横着は怪我のもと
■温か~いズボン式足温器
お部屋の暖房をエアコンだけにすることで湿気問題は改善されました。
でも寒がりの私にとって、エネルギー源の違いに関わらず、椅子に腰かけた姿勢では、膝(ひざ)から下がどうしても寂しくなります。
スリッパ式の足温器やデスクヒーターに、ひざ掛けなど、どれも私には今一つだったのでこの冬は思い切ってズボン式の足温器を購入しました。
製品の特長は足から腰までを電気毛布で作られた寝袋と思っていただければいいでよう。
だから、足元は勿論、お尻から腰までが均一に暖かくなり、「いいね!」と満足しております。
ただ難を言えば、ズボン式なので、穿(は)いたり脱いだり、つまり脱着が大そう面倒な代物で、お茶を飲みたいと言ってはつい女房に頼ってしまう始末。
幼いころの私は、末っ子だったからなのか母親や兄貴の“お手伝い”とやらを、私が一手に担っていました。
お蔭で私自身は「自分のことは自分で」と出来るだけマメに動くことを習慣としておりました。
でも、言い訳になりますが、このズボン式足温器は、穿くときも脱ぐときも長さ約80センチものマジックテープを操作しなければなりません。
特に穿くときは、起立の姿勢で、腰まで包み込み、それから椅子に腰かけることになります。
しかし“温かいんだから”の価値に比べれば、その面倒な動作も私の許容範囲のはずだったんです。
■横着(おおちゃく)は怪我のもと
先の日曜の夜のこと、夕食は終わっていましたが引き続き椅子に腰かけたまま、ノートパソコンを引き寄せ電源を入れました。もちろんズボン式足温器は装着しておりました。
立ち上がったのを確認し、或るキーに指が触れると、少し粘った感じがして不愉快にも思えたのです。原因はキーではなく右手の薬指でした。
きっと、食事の時、無意識のうちに汚してしまったようだ。
目の前に乾いたタオルはあるが、これでは粘った汚れは取れにくい。
「困った・・・」おしぼりを頼みたかったが、あいにく女房は入浴中だ。
洗面台はドアを開けた廊下にある、だけど我が家の廊下はまるで冬の北海道のようです。
私は椅子から立ち上がろうと、足温器を脱ごうとマジックテープに手を掛けました。
すると、キッチンの方から声が聞こえました。
「こっちのお~湯は暖かいぞ」
私が声のする方に目をやると、何と流し台の混合水栓が私を誘っているではありませんか。
次の瞬間、マジックテープを外すのをやめた私は、足温器のコネクタを外していました。きっとズボン式足温器を穿いたままキッチンに行こうと決心したに違いない。
私は進路の障害となる左横の女房の椅子をテーブルから引き離しました。
私の椅子と同様、イス脚にはコマが付いていたので、簡単に移動することが出来ました。
続いて、両足で足温器の底を踏み込み、さらに両方の手で椅子のひじ掛けを握ります。ちょうど、立ち上がる直前の姿勢です。そして腰を前に移動するのと同時にひじ掛けも前に引きます。コマ付きの椅子はありがたいですね、
これら一連の動作を繰り返すだけで「転がるわ、転がるわ、これが自由自在、いいね!」
そしてシンクの前に無事到着、私は椅子に座ったまま、お湯のバルブをひねった。
「これはいい、おしぼりより心地よい」自分の決心に一人、満足していました。
ところで手洗いが終わったものの、いつものところにタオルが見当たらない、女房が入浴前に洗濯カゴに放り込んでしまったようです。
そう決め込んだ私は、常に自分のテーブルには乾いたタオルを置いていることを思い出し、椅子を回転させた。
さぁ!テーブルまで戻りましょう、その時私は重大なミスを犯してしまった。
濡れた手で肘掛けを握るのをためらってしまったのです。
「よいしょ!」の掛け声で、腰をまえに・・・
次の瞬間、私のお尻は、キッチンの床に激しく叩きつけられていました。
「ドスン!」と聞こえたのか何も覚えていません。思い出せるのは、その衝撃が頭のてっぺんまで響いたことです。
暖房ズボンで、す巻きの状態、その上、椅子を引かず腰だけを前に移動したとなれば、それは尻もちつきますよね。ようやく目の前の出来事に気付き始めたのはしばらくたってからでした。
けっこうな音がしたらしく、異変に気付いた女房が直ぐに飛び込んできてくました。
私は起き上がろうと、右の肘(ひじ)を床にあてがい、懸命にもがき始めていたところだ。
しかし腰から下が、痛みと言うより、妙に重くて、動かすことが出来なかった。
絶望を感じた私は床に着いていた手の甲に思わず顔を伏せてしまった。そして暫らく唸(うな)っていたそうだ。
後に聞かされた話だが、驚いた女房は浴室から出たところで、何も身に着けていなかったらしい。「よかった、顔伏せていて」(独り言)
「どうしたん、なあ、なんでこうなったん」「大丈夫?救急車呼ぼうか?」
私は痛みと恐怖で即座に返答ができない。いや、自身が馬鹿馬鹿しくて説明するのが煩(わずら)わしかったのかもしれない。
これも、後から聞いた話だが、女房は「リビングのテーブルの場所から、キッチンまで椅子ごと飛んで行った」と思ったようだ。
「私は、戦闘機のパイロットかよ!」まさか椅子に腰かけたまま移動したなんてね。
その後、一日様子を見たが、更に痛みがひどくなったので、地元の大学病院で診てもらいました。
骨には異常ないようです。でも全治三週間とのこと、しばらくジムもお休みします。
次の機会でお話しますが、この病院の先生、実はすごく「いいね!」でした。
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