4)去勢手術
4)去勢手術
いよいよ我が家にガニー君が同居できるようになると
飼い猫についてのアドバイスの声がどちらからともなく耳に入ってくる。
・同じ餌を与え続けると栄養失調の心配が
・外に出すと他の猫の病気に感染しますよ
と言って家の中だけだと
・運動不足になりがちですよ。だから遊んでやらないと
皆さんガニー君のためと思ってご心配いただいては居るのですが
去勢手術の話だけはタイミングが大切、つまり急がないと、
と聞き、紹介された動物病院に女房が連れて行っていた記憶がある。
たしか手術後のガニー君はしばらく元気が無く、これこそ借りてきた猫のようだった気がする。
それからどれくらい経った頃か、我が家の厳重なセキュリティを潜り抜け外に飛び出したガニー君、何とも無残に血だらけになって帰って来たことがある。
女房の話では、野良猫と喧嘩をしたようだ。
私がその時感じたのはやはり 去勢手術が敗因のような気がしてならなかった。
いまでも去勢手術の話題になると、人間のエゴでなんて可愛そうなことをしてしまったと 反省した当時を思い出すことがある。
私の得意先に、一千坪以上の広い敷地に大邸宅を構えられているが、たいそう気さくなご家族がおられた。
ご主人は各地の著名な学校の校長にも就任され地元ではよく知られた先生だった。
実はそこには私も何度か対面したことがある飼い猫が居たのですが
ある日の訪問のとき、私のガニー君の話から、お客さんの猫ちゃんの話になったのである。
「どこかえ行ってしまったようや、もう何日にもなるのに帰って来ないんよ」と、奥さんが話し始める。
「猫と言う動物は、死ぬときは飼い主に姿を見せないで死ぬようや」と、これもその時に奥さんから教えてもらった逸話である。
『へー、そんなお歳やったかな?』私もそのような感想を返したことを覚えている。
ところがその後、その大邸宅に私が再びお邪魔した時は、数匹の子猫が出迎えてくれたのである。
その日は私から尋ねた訳でもないのに奥さんのほうからその子猫のことを話しだした。
「もう諦めとったんよ、そしたらひょこっと帰って来てな・・」
私はお話を聞きながらもその子猫の中の一匹とじゃれ合っていた。
「あんた聞いてんの?」
『ええ聞いてますよひょこっとでしょ』・・
「おまけにたくさんの子猫まで連れてやで、どない想う」
『きっとどこかで子育てさせてもらってたんですね』っと
反射的に返したものの私には続いてイメージしていた言葉があった。
(子猫を連れて帰って来た? それって出戻りじゃないですか)
こちらには未婚の御嬢さんも居られた。だから言葉にするのだけは控えたようだ。私にすればよく機転が働いたものだと褒めてやる。
その代り「へー、賢いもんですね、子猫を自分の家に連れて来るなんて」なんてことを言ったに違いない。
そう、こちらの猫ちゃんは女の子だったんですね。
(このように相手様にご迷惑とならないためにも去勢手術は必要なのかも知れない)
それにしても、こちらの奥さんは随分太っ腹ですよね。
私の家なら、ガニ君一人(一匹)でも大変なのに、数匹の子猫なんて、きっと私のお袋なら卒倒していたに違いない。
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